2022.09.20

<いま読みたい絵本>子どもたちと校長先生の勝負の結末は!?『びゅんびゅんごまがまわったら』

児童文学作家・宮川ひろさんと、絵本作家・林明子さんによる、傑作ロングセラー絵本をご紹介します。おかげさまで、今年刊行から40年をむかえました。

かえで小学校には、運動場につづく、本物の森のような特別なあそび場があります。
みんなこの遊び場がだいすきです。
けれど、冬になり、1年生のこうすけが、霜で凍った一本橋でころんでケガをしてからは、遊び場のとびらに、鍵がかけられてしまいました。

春になって、新しい校長先生がやってきました。
上級生の子から「おまえのせいで遊べなくなったんだぞ」と言われてしまい、くやしい思いをしていたこうすけたちは、鍵をあけてくれるように、思いきって新しい校長先生に頼むことにしました。

校長室に招かれたこうすけたち5人。
かぎをあけてくれるのかと思いきや、校長先生はいじわるそうな顔をして、机のひきだしから「びゅんびゅんごま」をとりだしてまわしてみせます。「まわせるようになったら、たのみもきこうじゃあないか」
そう言ってこうすけたちにびゅんびゅんごまを1つずつくれます。



次の日、校長先生に、練習してこまをまわせるようになったのを見せに行ったこうすけたちですが、校長先生は今度は足を使って、ふたつのこまを一度にまわしてみせます。



驚くこうすけたちに、校長先生はまた1つずつこまをくれます。

こうすけたちは、3日も練習し、なんとか2つのこまをまわせるようになりますが、校長先生は足と手でなんと3つのこまをまわせてみせるのです。

「2つだってやっとだったのに、3こなんてむり」と、くによは帰ってしまいます。
けれど、くによは青い柿の実で作った首かざりを、校長先生の机の上にこっそりと置きます。
「こんな遊びだってあるんだよ」と言いたかったからです。

一方、こうすけたち4人は、校長先生に負けるものかと練習し、3つのこまをまわせるようになりますが……。
遊び場の鍵はあけられたのか、こうすけたちと校長先生の勝負の結末は……!?
ぜひ絵本でお楽しみください。


「こんな校長先生がいたらいいな」
「子どもに対してこんな大人でありたい」
そんな感想を多くいただくこの絵本。

子どもたちに読むと、予想をこえる校長先生の返答や物語の展開に、驚きや笑いの声があがります。
子どもと正面から向き合って、子どものエネルギーをひきだしていく校長先生の姿勢と遊び心が心に残る、傑作ロングセラー絵本です。


びゅんびゅんごまをはじめ、柿の実の首飾り、タンポポのひな飾り、竹馬、カラスノエンドウのさやぶえなど、自然豊かな遊びが多数登場します。

びゅんびゅんごまは「ぶんぶんごま」とも呼ばれ、たこ糸と牛乳パックの厚紙など、身近な素材で作ることができる楽しい遊びです。小学校の工作などでも作られており、作り方の動画なども多く紹介されています。絵本を読んだ後、ぜひ、親子で一緒に作って遊んでみてはいかがでしょうか。

著者は児童文学作家の宮川ひろさん。
ご自身も小学校教員をなされ『天使のいる教室』「かんぱいシリーズ」など、学校を舞台にした作品を多く手がけています。

絵は『はじめてのおつかい』『こんとあき』(いずれも福音館書店)などで知られる林明子さん。
子どもたちのいきいきと遊ぶ姿、ダンディーでくせのある校長先生の仕草など、表情豊かですばらしい絵をぜひお楽しみください。

3歳から/48ページ
(宮川ひろ 作/林明子 絵)
びゅんびゅんごまがまわったら

絵本・ちいさななかまたち

びゅんびゅんごまがまわったら

宮川ひろ 作/林明子

こうすけたちと、あまのじゃくな校長先生とのびゅんびゅんごま合戦の結果……。

  • 3歳~
  • 1982年7月20日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み