2022.03.10

<いま、読みたい絵本>東北へ「希望」を届けた ほんとうのお話『はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ』

2011年3月11日に発生した東日本大震災から、11回目の春です。

今日は、当時の実話をもとにした絵本『はしれディーゼルきかんしゃデーデ』をご紹介します。


デーデはディーゼルきかんしゃです。
けいゆでうごく おおきなエンジンをもっているので、
でんきがなくても はしれます。


DD51-852号機、通称「デーデ」は、かつて新潟‐郡山を結ぶ磐越西線を走っていましたが、働ける場所が少なくなり、今は山口でセメントを運ぶ仕事をしています。

3月11日、大きな地震が東日本を襲い、大規模な停電が起きました。

その数日後、デーデたちディーゼルきかんしゃが集められたのです。

デーデは、新潟の貨物ターミナル駅から燃料タンク10両を連結して福島の郡山まで走ることになりました。
相棒は、大阪からきたディーゼルきかんしゃ、「ゴク」です。

整備士さん、運転士さん、そしてデーデたちディーゼルきかんしゃ。みんなの思いをのせて、雨の中を夜中の1時に出発しました。


久しぶりに磐越西線を走るデーデは、街の様子から大変なことが起きたのだと感じとります。

難所を乗り越え、ひたすらに郡山をめざすデーデたち。


「ばんだいさーん。ねんりょうを とどけにきたよー。
もうすぐだ。はやく、もっとはやく、はしらなくちゃ」


そして朝10時、ついに郡山に到着しました。


人々の思いを集めて走るデーデの姿が、「希望」があるからこそ困難を乗り越えていけるのだと語りかけてきます。

甚大な被害をもたらしたこの震災を、経験していない世代にどのように伝えていくのかは、私たちの大きな宿題ではないでしょうか。
被害の全容、備えや避難について、学び、知るのと同じように、大きな困難を人々の力でどう乗り越えていったのかも、子どもたちに伝えていきたい大切なことです。


(すとうあさえ・文 鈴木まもる・絵)
はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ

絵本・こどものひろば

はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ

すとうあさえ 文/鈴木まもる

3.11の直後、東北に石油や灯油を届けるために、ディーゼル機関車が活躍したのをご存知ですか? 全国から集められたディーゼル機関車たちが、新潟から福島の郡山へと走ったのです。最初に出発したのが、デーデです。途中、雪でスリップし、立ち往生してしまいます。なんとか郡山に着いたときには、予定の時刻を、3時間過ぎていました。それでも、みんな待っていてくれ、とても喜んでくれました。
実話が元になった絵本です。

  • 4・5歳~
  • 2013年11月30日初版
  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 立ち読み