2021.11.22

<新刊紹介>わたしの1日がもっとすてきになりますように!『ひまりのすてき時間割』

今回ご紹介するのは、11月に刊行となった新刊読みもの『ひまりのすてき時間割』です。
小学6年生、橋本ひまり。
ひまりはやりたいことがあると夢中でつっ走る元気な子です。
じっとしていることは苦手で、忘れ物は1番、ケアレスミスも1番、おまけにケンカっ早いところもあるのですが、明るくてみんなから愛されています。

ところが、6年生になると担任の安部先生とそりが合わないのか叱られてばかり。
ある事件をきっかけに、ついに学校に行くことができなくなってしまいます。
スクールカウンセラーの方のアドバイスを受けて小児科の和子先生に相談したところ、ひまりは「ADHD」という診断を受けました。

「時間割」とは、ひまりが自分の暮らしを見つめ直すために書いた、過去の記録でもあり、明日のための覚え書きでもあります。
ひまりが友だちの真由に見せるために書いたこの「時間割」のノートを、読者も一緒に読み進めていくことになります。

そこに書いてあることこそ、ひまりそのものなのです。
好きなこと、苦手なこと、毎日を暮らしやすくするためお母さんと考えた「おまじない」、やりたいことが我慢できないというひまり自身の気持ち――。
時には句読点なしで一気につづられることもあります。
ひまりが自分のありのままを見つめ、受け入れ、好きになっていく様子が「時間割」をとおして読み手に迫ってきます。



著者は現役の小児科医であり、ご自身もADHD、ASDの特性を自覚されているという、井嶋敦子さんです。
本作のあとがきではこのように書いています。


「主人公ひまりは、ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持っています。
でも本文にも書いたように、これは障がいではなく性格・行動の特性と思いたいのです。
もし本人も周囲も困っていなければ、治療なんてしなくていいんです。
でも困っていることがあれば、発達特性を見てもらって対応すれば、あなたの明日が変わります。」


家族や友だちに支えられながら、自分のエネルギーで自分の毎日をすてきにしていこうと進んでいくひまり。
ひまりのハッピーな笑顔に、本の中でぜひ出会ってください。

207ページ、小学校高学年から。

(井嶋敦子・作 丸山ゆき・絵)
ひまりのすてき時間割

単行本図書

ひまりのすてき時間割

井嶋敦子 作/丸山ゆき

ひまりは、やりたいことがあると夢中で突っ走る元気な女の子。じっとしていられなくて、わすれもの一番、ケアレスミス一番、ケンカっぱやいの一番だけど、明るくて、みんなから愛されていた。ところが、六年生になった途端、まじめな担任・安部深雪先生とそりが合わず、しかられてばかり。ついには、「ティッシュ万札事件」が起こった。ひまりのポケットティッシュに、なぞの一万円札が入っていて、大さわぎになってしまったんだ!
親友の真由が心配していたら、ひまりはしだいに元気を取りもどした。そして、「見て見て!」といいながら、ひまりがてわたしてくれたのが、「ひまりのすてき時間割」。ひまりが、「すてき」を目指して試行錯誤する毎日をつづったノートだった。
ひまりはどんな思いを抱えているんだろう? 元気になった理由は何だろう? 朝のおまじない? ただいまのおまじない? 夜のおまじない? 真由が、気になって「ひまりのすてき時間割」を読み進めていくと……。

  • 小学5・6年~
  • 2021年11月15日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み