2021.10.20

<いま、演じたい紙しばい>にぎやかな音の重なりでもりあがる『おなべとやかんとふらいぱんのけんか』

体のあたたまるお鍋のおいしい季節になってきました。
今日は、台所の身近な調理道具が登場する、今年刊行から50年をむかえるロングセラー紙芝居をご紹介します。

 ようこちゃんとお母さんがお台所で料理をつくっています。
おなべには、じゃがいもとにんじん、玉ねぎとお肉をいれて、ふたをして火にかけました。
やかんには、お水を入れて、おゆをわかします。
フライパンでは、卵をポン!とおとして、ようこちゃんの好きな目玉焼きをつくります。
そこへ電話が「ジリジリン!」と鳴ったので、お母さんは火をかけたまま、電話のところへ行ってしまいます。

 ようこちゃんが見ていると、やかんが、だんだんとふっとうして

 「プクプク シュッシュ」

 とゆげを出しはじめました。

 そのうちに音はだんだんと強くなり、

 「プープー シュッシュ」
「ガタゴト ガタゴト」と、さわぎだしました。



 おなべも、まけちゃいないと
「グツグツ グツグツ」
「グダグダ グダグダ」と文句を言い出しました。

 おなべは、そのうち、さらに大きな声で、
「グッタ グッタ」
「グッタ グッタ」とわめきだして……。



やかんとおなべのけんかに、とうとうフライパンも「ピチピチ ピチピチ」と文句をいいだし、台所は大変なさわぎになっていきます。


脚本は堀尾青史さん。村山籌子さんの原作を紙芝居化した作品です。
おなべであれば、「グツグツ」から「グダグダ」、そして「グッタ グッタ」から「グタグタ グッタ グッタンコ」へ、にぎやかな擬音の重なりだけでなく、変化していく音の響きが大変おもしろく、お話とあわさってエスカレートしていく様子が見事に描かれています。声に出して演じるとおもしろさが実感でき、観客の子どもたちといっしょに盛り上がることができる紙芝居です。

 絵は『おしいれのぼうけん』などで知られる田畑精一さん。
この作品では、遠くから見てもわかりやすいはっきりとした線と絵で、なべややかんたちが表情豊かに、色鮮やかに描かれています。

 楽しく演じたあとは、「火にかけたままそこを離れるのはあぶないこと」「熱いなべやフライパンには近づかないこと」など、大切なことを子どもたちに伝える機会にもぜひしていただきたい作品です。 

12場面/2歳から
(村山籌子 原作/堀尾青史 脚本/田畑精一 画)
おなべとやかんとふらいぱんのけんか

おはなしがいっぱい

おなべとやかんとふらいぱんのけんか

村山籌子 原作/堀尾青史 脚本/田畑精一

おかあさんが、おなべにやさいを入れ、やかんに水を入れ、ふらいぱんにたまごをおとして火をつけると、電話がなりだしました。

  • 2歳~
  • 1971年6月1日初版
  • 定価2,090円 (本体1,900円+税10%)
  • 立ち読み