2021.07.16

<いま、演じたい紙しばい>子どもたちに身近なやさいが登場するロングセラー『おねぼうなじゃがいもさん』

7月27日はフィンランドでは「おねぼうさんの日」。昔からこの日にお寝坊をしている人はなまけものとされ、最後まで寝ていた人は家族に湖や海に投げ込まれたり、水をかけられたりして起こすのだそうです。なんだかすごい風習ですね。

 今日はおねぼうさんが登場する、今年刊行50年をむかえるロングセラー紙芝居をご紹介します。
この作品のおねぼうさんはどうなってしまうのでしょうか。


とっても仲良しだったにんじんさんとじゃがいもさんのふたり。
けれど、ある日ささいなことでケンカになり、たがいに「これから君とはけっして口をきかない」とケンカ別れしてしまいます。
そんな中、ふたりの共通の友だちだった玉ねぎさんが青物市場へ旅立つことになり、にんじんさんは玉ねぎさんに、明日の朝、駅までじゃがいもさんと見送りにきてほしいと頼まれます。
にんじんさんはじゃがいもさんに知らせに行こうと思いますが、ケンカを思い出して腹が立ち、そのまま家に一人で帰ってしまいます。

翌朝にんじんさんは思い直し、やっぱりふたりで見送りに行こうと、じゃがいもさんを家まで起こしに行きますが、じゃがいもさんは有名なおねぼうさん。起こしても起こしてもねているじゃがいもさんを、にんじんさんはなんとか駅までつれだしますが……。



じゃがいもさんをひっしになって連れていったにんじんさんは真っ赤に、寝たまま歩いてあちこちぶつかったじゃがいもさんはこぶだらけに、そんな二人の到着を心配して待っていたたまねぎさんは、黄色になってしまいます。
この野菜たちの姿にはこんな理由があったんですね。



怒りっぽいにんじんさんと、ねぼけてばかりのじゃがいもさん、気の小さいたまねぎさん。それぞれの性格の違いが絵と脚本でユーモアたっぷりに味わい深く描かれています。

脚本と絵を手掛けたのは、画家、舞台芸術、演出、小説など、多方面で活躍した美術家の村山知義さん。
妻である村山籌子さんの原作を紙芝居化した作品です。

身近な野菜が印象的な絵とストーリーで登場し、子どもたちからも根強い人気のあるこの作品。
刊行から半世紀がすぎた今も、色あせないユーモアと魅力が光る紙芝居です。

 12場面・3歳から
(村山籌子・原作 村山知義・脚本/絵)
おねぼうなじゃがいもさん

紙芝居ベストセレクション 第1集

おねぼうなじゃがいもさん

村山籌子 原作/村山知義 脚本・画

青物市場に行くたまねぎさんを駅まで見送りに行く約束をしたにんじんさんは、けんか中のじゃがいもさんをさそっていこうとしますが…。

  • 3歳~
  • 1971年9月1日初版
  • 定価2,090円 (本体1,900円+税10%)
  • 立ち読み