2020.12.25

<新刊紹介>「きらわれもの」のイメージが変わるかも? 『カラスのいいぶん 人と生きることをえらんだ鳥』

私たちの身近にいる鳥、カラス。
皆さんにとって、カラスはどんな鳥でしょうか。

ゴミをちらかす困った鳥? 人を襲う怖い鳥? 
あまりよいイメージを持っていない、という方が多いかもしれません。

今日ご紹介するのは、そんなカラスの本当の姿、意外な姿にふれることができるノンフィクション、『カラスのいいぶん 人と生きることをえらんだ鳥』です。


この作品の著者、嶋田泰子さんご自身は「カラスにさんざんな目にあわされて」カラスのことはきらいだったといいます。
カラスをギャフンといわせたい、そんな気持ちからカラスをよく観察するようになったそうです。

嶋田さんが観察を続けたのは、人間がごみとしてすてる食べ物にひきよせられ街中でくらすようになった、ハシブトガラス。
嶋田さんは家の近くにやってきた「じょうれんさん」のカラスたちに名前をつけ、日々の行動を追い、カラスに「毎日の時間わり」があることを知りました。
毎日ねぐらからえさ場まで飛んでくること、食べきれないものを隠しておく「貯食」、自由時間には遊んでいることなど、書かれているのは私たちの身近にいながら知らずにいる、カラスのくらしです。

ほかにも、カラス同士の厳しいなわばり争いや、子育ての様子も紹介されています。

絵を手がけたのは、岡本順さんです。
ツヤツヤとした美しい羽、何かを訴えかけてくるかのような瞳など、カラスのさまざまな姿が、緻密にいきいきと描かれています。


本作を読み終えるころには、嶋田さんがそうであったように、「カラスのつごうをきいてみてもいいのじゃないか」と、気持ちに変化がおこるかもしれません。
私たちのすぐ隣で生きるカラスたちの賢くたくましい姿を、本作で確かめてみてください。

冬休みの読書にもおすすめです。
135ページ、小学校3・4年生から。

(嶋田泰子・著 岡本順・絵)






カラスのいいぶん

ノンフィクション・生きものって、おもしろい!

カラスのいいぶん

嶋田泰子 著/岡本順

身近な鳥、カラス。ごみをちらかす、黒くて不吉、大きくてこわい……などわるいイメージばかり。でも、本当はどんな鳥なのでしょう? もともとは森でくらしていたカラス。人のだすごみにひきよせられて街へとおりてきました。しかし、街のくらしも楽ではありません。なわばりあらそいのきびしさ、子育ての苦労など、いがいと知られていないカラスの生活をほりさげます! カラスを愛する著者がユーモラスに語るノンフィクション。

  • 小学3・4年~
  • 2020年12月15日初版
  • 定価1,320円 (本体1,200円+税10%)
  • 立ち読み