2020.08.10

<新刊絵本>恐竜と、おともだちになっちゃった! 『ベッドのなかはきょうりゅうのくに』

ティラノサウルス、トリケラトプス、プテラノドン、パラサウロロフス……。
むずかしい名前がすらすらと出てくる恐竜大好き! な子も、恐竜はあまりくわしくないという子も楽しめる新作絵本『ベッドのなかはきょうりゅうのくに』を、今日はご紹介します。

手がけたのは、自然や生き物をテーマにした作品を数多くうみだしてきた、松岡達英さんです。


おやすみのまえ、あかちゃんにかかりきりのお母さんは、「ぼく」に最後までおはなしを読んでくれませんでした。

「つまんないの~」

「ぼく」は、おふとんの中にもぐって、”ほらあなたんけん”をすることにしました。
ねこのミーコといっしょにずんずん進み、ようやく出てみると、そこにはたくさんの恐竜たちの姿が!
なんと「ぼく」は恐竜のすむ世界にやってきてしまったのです。

ティラノサウルスにおそわれそうになったランベオサウルスのあかちゃん「ベオ」を助けた、「ぼく」。
いっしょにお母さんを探すことにしました。
ベオのお母さんは見つかるのでしょうか……?


作者の松岡達英さんは、刊行に際してこんな言葉を寄せてくださいました。(※)

「私は小さい頃、ふとんのなかにもぐって想像をふくらませる遊びをよくしていました。
暗やみのなかをじっと見つめると黒以外の色が見えてきて、その形を追っているうちに時空を超えて冒険しているのです。
暗やみのふしぎです。
そんな体験が、ベッドのなかにもぐって恐竜の世界へ行ってしまう、この絵本へと繋がったのだと思います。

ところで、大人になり恐竜絵本を創るにあたって、私は‟恐竜がほんとうに生きていた”という実感をもとめてアメリカのユタ州バーナルにある恐竜の町へ行ったことがあります。

そこは大昔の地層が地上に現れ、洪水で流された恐竜の化石がむき出しになった学術的価値のある化石発掘現場であり、博物館としても機能しています。
私はこの恐竜の壁を見上げて、思わず『すごーい』と声が出ました。ビルの4階にも届くアパトサウルスやカマラサウルス、背中に板状の骨が並ぶステゴサウルスなどの全骨格が、まるで生きているみたいに埋まっていました。

『ほんとうにいたんだ、ほんとうにこんな巨大な生物がいたんだ!!』タイムスリップした私は、この感動を絵本にして子どもたちに伝えたいと思いました。

恐竜のいた時代の地球の歴史は、地続きに現代の私たちへと繋がっているのです。」


「ぼく」が出会う恐竜たちは、一頭一頭緻密に、表情豊かに描かれています。
表紙をめくった「見返し」という部分には、本作に登場する恐竜が、名前とともに紹介されています。

不思議に満ちた白亜紀の夜の世界。
「ぼく」といっしょにベオのお母さんを探しながら、画面のすみずみまでじっくり味わってくださいね。
(まつおかたつひで 作・絵)

※童心社定期刊行物「母のひろば」674号(2020年7月15日発行)より

ベッドのなかはきょうりゅうのくに

絵本・こどものひろば

ベッドのなかはきょうりゅうのくに

まつおかたつひで 作・絵

おやすみ前、ぼくはお母さんに本を読んでもらうんだ。でもあかちゃんの泣き声が聞こえてきて、お母さんは出ていっちゃった。「つまんないの」ぼくは、ベッドの中にもぐってほらあなたんけんすることにした。進んでいくと、何とそこは大好きな恐竜のせかい。肉食竜ティラノサウルスにおわれて迷子になったランベオサウルスの子・ベオと出会ったぼくは、ベオのお母さんをさがす旅に出る。恐竜好きの子どもに送る冒険物語。


  • 3歳~
  • 2020年7月9日初版
  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 立ち読み