2019.08.23

〈連載〉読書感想文におすすめ ⑤『二年二組のたからばこ』

読書感想文におすすめの作品を連載でご紹介していきます。
今日ご紹介するのは教室の楽しい空気が伝わる1冊『二年二組のたからばこ』です。

63ページ。小学校1・2年生から。

「二年二組には『たからばこ』がある。
でも、たからものが はいっているんじゃない。
きょうしつの 中で、 たからくんの おとしものを 見つけたら いれておく はこだ。」
こんな書き出しではじまる本作。

たからくんは、とにかく落とし物が多い子です。
消しゴム、ハンカチ、教科書、しまいには上靴まで……。

けれど、たからくんのものには名前が書いてあるので、たからくんのところにきちんと戻ってきます。そして、たからくんはものたちに言うのです。「おまえ、もどって こられて よかったなあ。ごめんなあ。」と。物語は、たからくんと隣の席になったクラスメイトの女の子、みなの視点で描かれます。
なぜそんなに落とし物をするのか不思議に感じたり、何度も貸してと言われて煩わしく思ったり……。
子どもの素直で揺れやすい心模様が丁寧に描かれています。

みなが、たからくんの思いを知り、受けとめ、本当の仲間になるまで。
佐藤真紀子さんによる絵もふんだんに入って、子どもたちの表情、教室の空気が伝わってきます。
小学校の教員として長く勤めてこられたという著者の山本悦子さん。
いろいろな子がいるけれど、みんながありのまま過ごせる、それが「普通」であってほしい、という山本さんの願いが本作には込められています。

著者・山本悦子さんの本作についてのインタビューはこちら

二年二組のたからばこ

だいすき絵童話

二年二組のたからばこ

山本悦子 作/佐藤真紀子

たからくんのおとしものを見つけたら入れておく箱が「たから箱」。たからくんは物を大切にしないからおとしても平気な顔してるって、友だちは思ってる。たからくんが日直になった日、生活科室のかぎがなくなって…。

いつもおとしものをしてしまうたからくんをクラスメイトの女の子”みな”の視点から描いた本作。なぜそんなにおとしものをするのか不思議に感じたり、何度も貸してと言われて煩わしく思ったり……みなが、たからくんの思いを知り、受けとめ、本当の仲間になるまで、子どもの素直で揺れやすい心模様が丁寧に描かれています。小学校の教員として長く勤めてこられた著者山本悦子さんの、いろいろな子がいるけれど、みんながありのまま過ごせる、それが「普通」であってほしい、という願いがこめられた物語。
佐藤真紀子さんによる絵もふんだんに入って、子どもたちの表情、教室の空気が伝わってきます。

  • 小学1・2年~
  • 2018年11月15日初版
  • 定価1,100円 (本体1,000円+税10%)
  • 立ち読み