2019.08.06

〈連載〉読書感想文におすすめ① 『かあちゃん取扱説明書』

夏休みの宿題といえば、読書感想文です。読書感想文におすすめの作品を連載でご紹介していきます。
今日ご紹介するのは『かあちゃん取扱説明書』です。152ページ、小学校3年生くらいから楽しめます。

授業で、家族紹介をテーマにした作文を書いた小学4年生の哲哉。
かあちゃんの悪口を作文に書いたら、
先生は「よく書けてる、おうちの人に読んでもらって」だって。
とうちゃんに読んでもらったら、
「かあちゃんはほめると、きげんがよくなる。
パソコンもビデオも、あつかい方をまちがえると、動かないだろ」だって。
そうか、あつかい方だ!
試しに、哲哉がかあちゃんをほめてみると、今晩のごはんが哲哉が大好きなハンバーグに。
すごい、すごい、すごい!

哲哉は、コーヒーメーカーの取扱説明書を参考に、かあちゃんの取扱説明書を作ることにきめます。
まず、かあちゃんの「きほん機能」はなんだろう。
ごはんを作る、茶わんを洗う、洗濯をする、そうじに買い物、とうちゃんやぼくを起こすなんてものもある。
そういえば、かあちゃんって、何時におきてんだ?

哲哉は、取扱説明書を作る中で、かあちゃんの一日が忙しいことや、かあちゃんがどんなことで喜び、何を思い、働きすごしているのか、改めて発見していきます。

「かあちゃんを思い通りに動かそう」という子どもらしい発想が楽しく、夏休みの感想文の時期には、特に人気の高い本作。
「食べたいごはんをつくってもらう方法」「勉強、勉強といわせない方法」など、「おもしろい」「笑ってしまう」といった読者の方からの感想を多く頂きます。
いくつかそうした声をご紹介します。
「すごくおもしろく、おなかをかかえて子どもと笑いました。なぜなら、まったく私と同じだからです。」
(女性・54歳)

「カズくんが考え出したかあちゃん取扱説明書の内容と、おかあさんの絵がおもしろかったです」
(女の子・10歳)

「かあちゃんに取扱説明書をつかってみると、せいこうしました。そのときすごくうれしかったです。
中でも一番せいこうしたのは、からあげです。」
(男の子・9歳)

母親としての視点、子どもの視点(自分が子どもだった時のことを思い出しながら)
どちらも共感しながら読むことができました。
(女性・36歳)

身近なテーマで、読みやすくて笑いがあり、
ふだんあまり本を読まないというお子さんにも、とてもおすすめの作品です。
(いとうみく 作/佐藤真紀子 絵)

かあちゃん取扱説明書

単行本図書

かあちゃん取扱説明書

いとうみく 作/佐藤真紀子

ぼくんちで、一番いばっているのはかあちゃんです。今朝も朝からガミガミうるさくって、ぼくはハラがたちました。かあちゃんにいいたいのは、何日も同じごはんをつくらないでほしいです。さいごに、かあちゃんはすぐ「早く」っていうけれど、ぼくが「早く」っていうとおこるのは、やめてほしいと思います。
……ぼくの作文を読んだ父ちゃんは大笑いして「かあちゃんはほめるときげんがよくなるんだ。とにかくほめること。パソコンもビデオも扱い方をまちがえると動かないだろ、それと同じさ」
扱い方! そうか、扱い方さえまちがえなければ、かあちゃんなんてちょちょいのちょいだ!
哲哉はこうして、かあちゃん取扱説明書を書きはじめたのだが…。

  • 小学3・4年~
  • 2013年5月25日初版
  • 定価1,320円 (本体1,200円+税10%)
  • 立ち読み