〈連載〉せなけいこ展 『ひとつめのくに』

「せなけいこ展」の開催を記念し、せなけいこさんの作品をご紹介する本連載。
「せなけいこおばけえほん」シリーズから、今回はこちらの絵本をご紹介します。

むかし、珍しいものを見せる見世物小屋がありました。
でも見世物師は、いんちきばかり。
「よにもめずらしいばけもので、目が三つで、歯が2本だよ」

お客が入ってみると、ただの「げた」がころがしてあるだけ。
(鼻緒をとめる穴=目が3つあり、げたの底部で接地する板を「歯」と呼ぶことから)
とうとうお客がこなくなってしまいました。

珍しいものを捜していた見世物師は、江戸から百里行った所にある大きな木の下で、ひとつめこぞうに出会ったという旅人に出会い、つかまえて見世物にしようとたくらみます。

江戸から百里、旅をした見世物師は、大きな木の下で遊んでいた、小さなひとつめの女の子をみつけます。
女の子をだましてさらおうとした見世物師は、大人達にみつかり、つかまえられてしまいます。
奉行所につれて行かれた見世物師。
ひょいと周りをみると、お奉行様も、お侍もお百姓も、みんなひとつめ!

「めが二つもある」
「ばけものだ!!」

最後には、見世物師は自分が見世物小屋で見世物になってしまいます。

落語「一眼国」(いちがんこく)を題材にした本作。

せなさんのかわいらしい貼り絵と短くもわかりやすい語り調の文章で、
思わずお話にひきこまれるこわさとおもしろさがあり、
普通と言われるものも、場所や立場の違いでしかないという良識がおおらかに描かれた絵本です。
3〜4歳から楽しめます。
(せなけいこ・作)

ひとつめのくに

せなけいこ おばけえほん

ひとつめのくに

せな けいこ

ひとつめ小僧をつかまえて見世物にしようと旅に出た男。首尾よくつかまえたところが、じつは……。

  • 3歳~
  • 1974年7月20日初版
  • 定価1,100円 (税込)
  • 立ち読み