今日は、５月刊行の新刊絵本『おままごとで　あそびましょ』をご紹介します。

今日は雨の日。
お母さんはお買い物にでかけて、じゅんちゃんはひとりでお留守番です。
「だれか、あそびに　こないかなあ……」
すると「あそびましょ」
あれ？　やってきたのは、りすさんです。
じゅんちゃんがおとうさん、
りすさんがおかあさんになって、おままごとをしていると、
「あそびましょ」

今度はうさぎさんがやってきました。
おままごとで、うさぎさんは、おねえさん。そこへ「あそびましょ」とやってきたのは……。

「あそびましょ」とやってくる動物たちが、おままごとに次つぎと加わり、
あそびが盛り上がっていく楽しい展開です。
特に、体の大きなぞうさんがおままごとではあかちゃん役をしているのが、子どもたちにとってなんとも楽しいようで、著者やぎたよしこさんの遊び心が感じられます。
最後には、帰ってきたおかあさんとみんなで楽しくおやつを食べます。

本作は、1977年刊行の『じゅんちゃんあそびましょ』の文章を一部改稿し、和歌山静子さんが絵を全て描き直し新しく作り直したもの。
旧作に比べ、じゅんちゃんの表情はよりいきいきと、動物たちもキャラクター豊かに描かれています。

絵本を読み終わり、見返し（裏表紙の裏）に描かれた、閉じた傘を手に帰って行く動物たちの後姿をみて、「あめがやんだんだね」と言った子どもがいました。おでかけできない雨の中、じゅんちゃんを訪ね、楽しいおままごととおやつをともにして、うれしい晴れやかな気持ちで帰る動物たちの気持ちに、気づき共感したのでしょう。今の子どもたちにむけて、新しく全て絵を描き直したこの作品には、画家・和歌山静子さんの、こうした細やかな心づかいもつまっています。

25ページ。２歳くらいから楽しめます。
（やぎたよしこ・ぶん/わかやましずこ・え）


同時刊行の『かくれんぼでもいいかい』もあわせてお楽しみください。