ふしぎなはな
内容説明
むかしむかし、ジャワの国にとてもがんこな王さまがいました。
推薦のことば
- 人生へのメッセージを感じる物語
- ジャワの昔話です。もともと豊かな国のやさしかった王は、国の繁栄と共にごうまんになってしまい、大臣たちが偉いお坊さま(キアイ)に相談します。キアイの力で、王は意のままにならないことがあると気づかされ、自らの弱さを反省し救いを求めます。キアイから示された苦難に立ちむかい、たどりついた花の下で、王はふたたび民のための王になることを誓います。
読み語りの会で、五歳の男の子がリクエストしてくれました。物語がすすむと、だんだん隣にいるお母さんとくっついていきます。「おしまい」のひと言で、二人が「ほぅ」とひと息つくのがわかりました。起承転結のはっきりした物語の展開と、その世界を表す絵、まさしく舞台から芝居が広がっていき共感が生まれていく中で、演じることの喜びを感じられます。
夜、ほんのいっときしか咲かない神秘の花(月下美人)を持ち帰るため、王は苦難のなかで、王として身につけていた衣をはぎ取り、いつしか一人の人間として歩きつづけることとなります。絶望の淵で出会う女神から”あなたのこころ”だと花を託されます。とうとう王は、真実にたどりつくのです。聞く耳を持つ素直な心と、ここに至るまでの努力、人生における大切なメッセージを、この紙芝居から受け取ります。演じすぎることなく”作品の心”を伝えられるように心がけたいと思います。 - 嘉戸秀美(かど ひでみ/みやがわ書店スタッフ・ピッポの会会員)