とげとげ
内容説明
とげとげの体には、トゲトゲがあります。ちょっと姿が違うだけで、いつもみんなにいじめられていました。でもある日、サルにいじめられているところを、ヤマアラシのトムに助けられて…。
読者の声
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忘れられない絵本になりそうです。(38歳・女性)
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何度読んでも涙が出ました。差別によって固く伸びて自分を守っていたとげ。愛してくれる者の存在でかたくなな心が溶けていく……。
絵も可愛らしく、初めての作品だなんてスゴいです! 次回作も楽しみです。
人生の忘れられない絵本になりそうです。
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推薦のことば
- わたしの はりは…
- 自分の生まれた場所も、名前も知らない女の子、とげとげ。ガキ大将のサルたちにいじめられるたびに伸びていくという針は、とげとげの心で、まわりのことをキャッチするアンテナ。もしかしたら自分を閉じこめている鎧。自分のことを守ってくれた、よく似た針を持つヤマアラシの男の子が現れたとき、ともすれば相手を傷つけてしまう針に、とげとげは心を痛めるのです。
複雑な心のありようが、「針」に象徴され進んでいくこのお話。舞台になっているのは、作りもののような形をした木がひょろりと立ち、家いえの煙突から煙が出ている、どこの国ともいえない不思議な場所。登場人物たちの独特のフォルムや、かわいらしい服装が、そうした風景といっしょになって、重たいテーマをオブラートに包んで軽やかに読者へ手渡してくれています。
最後のほう、ベンチの上でとげとげが見る、夢の場面が印象に残ります。読みすすめるうち、つまるように感じていた胸のなかに、絵に描かれた風のふくらみが入ってきて、心がふわりと解きはなたれていきました。「自分のことをわかってくれる人は、必ずすぐそばにいるんだよ」そんな言葉を、風が伝えてくれているようで。 - 柴田こずえ(しばた こずえ/編集者)