単行本図書

紙芝居百科
KAMISHIBAI HYAKKA

紙芝居百科

立ち読み

紙芝居文化の会 企画制作

Q&A方式で、紙芝居の魅力、絵本との違い、演じ方、国際的な広がり、歴史など、紙芝居のすべてにお答えします。各章に、著名な絵本作家や教育学者のエッセイがのっており、紙芝居によせる熱い思いが語られています。さらに、紙芝居文化の会が厳選した、おすすめの紙芝居をカラーで紹介! バラエティー豊かな紙芝居の世界が、この1冊に凝縮されています。紙芝居と共に歩んだ、童心社の60周年を記念する本です。

  • 定価1,404円 (本体1,300円+税)
  • 初版:2017年11月20日
  • 判型:A5変型判/サイズ:20×14.8cm
  • 頁数:160頁
  • 一般~
  • ISBN:978-4-494-01400-2
  • NDC:907

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書評

しんぶん赤旗 2018年1月20日
紙芝居の時間、紙芝居の空間 (母のひろば643号) 2017年12月15日
「紙芝居の理論研究を深めよう、日本のみならず世界に紙芝居をひろげよう」──目的にこうかかげて、紙芝居文化の会が創立されたのは2001年だった。以来16年の活動の成果をまとめた1冊が、この『紙芝居百科』だ。「紙芝居の魅力ってなあに?」にはじまり、紙芝居に関する9つの問いを軸に構成されている。紙芝居とは何か。その魅力を引き出す演じ方とは? 考えるヒントが詰まっている。

「現在のような形態の紙芝居は、1930年東京の下町に誕生したといわれています」「紙芝居の歴史は、アジア・太平洋戦争と無縁ではありません。紙芝居のもっている独特な世界が戦争協力に利用された事実があるからです」とある(「紙芝居の歴史をおしえて」)。「独特な世界」とは何か。

 紙芝居は、綴じられた絵本とちがって、1枚1枚の画面をぬくことで進行する。だから、舞台を使わないと、ぬくことの意味や効果がはっきりしないだろう。紙芝居は、画面の裏に文章があるから、どうしても演じ手が必要になり、演じ手は観客と向かい合う。舞台は作品世界と現実空間をはっきり分けるが、観客の目は舞台にあつまり、その集中は作品世界への共感を生むことになる......。巻頭の 「紙芝居の魅力ってなあに?」に、こう記されている。これとは別に、「紙芝居の演じ方をおしえて」や「紙芝居を生かす舞台と場とは?」などの章もあり、「海外へのひろがりは?」では、いま、海外の多くの国で紙芝居に関心が集まっているようすを見ることができる。

 作品がたくさん紹介されている「紙芝居の選び方をおしえて」には、ひとりひとりが「この紙芝居こそ」とえらんだ「マイ紙芝居」を持とうという呼びかけがある。私のマイ紙芝居は、『おとうさん』(スマトラの民話から、与田凖一/脚本、田畑精一/絵)だ。この章の「おすすめ紙芝居」の 1 つでもある。私も、ひとりのおとうさんだから、作中の本物のおとうさんも魔物のおとうさんも、親しい気持ちで演じることができる。勤務先の大学の教室に舞台を持 ちこんで演じることもある。

『紙芝居百科』は、紙芝居が作り出す独特な時間と空間にかかわる様々な事柄をあつかう。紙芝居の形式や作品の内容に即して、その特性や魅力を徹底して具体的に述べるのが、この本の力になっている。紙芝居の演じ手のはしくれである私も、くりかえし読んで学びたい。外国人の執筆者7人をふくむ15人の紙芝居への思いを語るエッセイがあちこちに挿入されているのも楽しい。 (みやかわ たけお/児童文学研究者)
宮川健郎