わたしたちのくらしと家畜(1)家畜ってなんだろう
わたしたちは〈家畜〉なくしては生きられない生活を営んでいるにもかかわらず、多くのことを知りません。こんなに身近で人類とともに生きてきた生き物のことを、「もの」としてとらえることしかできなくなっているのではないでしょうか。
持続可能な社会作りへの大きな転換期を迎えているいま、わたしたちが生きるうえで本当に必要なものは何か、わたしたちはどう生きていけばいいのかを、いまこそ、みんなで考えてみる時がきているのではないでしょうか。
内容説明
わたしたちは〈家畜〉について、じつは多くのことを知りません。現代のわたしたちの暮らしから〈家畜〉は遠くへだてられているのでしょうか。
1巻では、世界の家畜と人のさまざまな関わり方を紹介します。アジアの家畜のことや、インドの家畜養護院、日本の在来家畜についてなど、人と家畜の多様な関係を見にいきましょう。
推薦のことば
- 人間と家畜の本当の かかわりを学ぶ 2013年4月30日
- 今回刊行の「わたしたちのくらしと家畜」のシリーズは、児童書ではあるが、生物学や歴史・民族学の視点から、地球的規模の広い内容で編集されており、一般の方々でも興味を持っていただけるのではと思う。
著者の国立民族学博物館教授の池谷和信先生は、世界の極寒地から熱帯までの地域を訪ね、そこで暮らす人々といろいろな家畜との関係を探る調査を行っている。児童書とはいえ、学術的に貴重な多くの写真が紹介され、専門家も参考にしたいほどだ。市街地の人込みの中を100頭ほどの豚の群れを移動させているバングラデシュの風景や、年老いたり病気になったりした牛を保護し、自然死するまで世話するインドの家畜養護院の話などは読者を驚かせるだろう。私の知る限り、このような人間と家畜のかかわりを広く紹介した本は、これまであっただろうかと思ってしまうほどだ。
また本書は、家畜の命を脅かす口蹄疫やインフルエンザなどの現代的問題や、東日本大震災と原発事故で犠牲となった家畜にもふれられており、私たちの命についても考えさせてくれる。現代の私たちにとっての家畜は、乳や肉、卵など食糧としてのイメージが強い。だが、多くの貴重な写真や親しみやすいイラストのある本書は、人間と家畜との本当のかかわりを感動と共に教えてくれる。お子さんをはじめご家族のみなさんで、ご覧になることをおすすめする。 - 黒澤弥悦(くろさわ やえつ/東京農業大学「食と農」の博物館 教授)
書評
- 子どもと読書 2014 3・4月号 2013年 子どもの本 この一年
- 東京新聞(夕刊) 2013年5月25日
- マナビゲート 2013 学びのキーワード 家畜を育てる(畜産学)
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