絵本・こどものひろば

こぐまのくうちゃん

こぐまのくうちゃん

立ち読み

あまんきみこ 文/黒井健

こぐまのくうが、あかい花をみつけたよ。なかよしのぴょんこちゃんにあげようと花を摘んだとき、うしろから「いや~ん」と声が! ぴょんこちゃんが泣いていた。ぴょんこちゃんも、同じ花を、くうに見せたいと思っていたのでした。走りさるぴょんこちゃん、ぼうぜんと見送るくう。赤い花びらが花の精となって、二人の仲を取り持ちます。

  • 定価1,430円 (本体1,300円+税)
  • 初版:2013年8月30日
  • サイズ:19.1×26.6cm
  • 頁数:32頁
  • 2歳~
  • ISBN:978-4-494-00763-9
  • NDC:913

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ほんとうは、おたがいにあかい花をプレゼントしたかったふたり。子どもたちによくある「思いのすれ違い」を、あまんきみこが温かいまなざしで綴った作品。
その思いを大事に、さらにイメージをふくらませるのが、黒井健の絵。
じっくりと読み応え、見応えのある絵本。

読者の声

とってもこころがあたたまります
こぐまのくうとうさぎのぴょんこ
なかなおりできてとってもこころがあたたまります。(7歳・女性)

推薦のことば

「悲劇」から引き返す 2013年9月27日
 日曜日の朝、子グマのくうが子ウサギのぴょんこのうちに遊びに行く道々、きれいな赤い花が咲いているのに気がつきます。丸い花びらが五枚の小さな花です。「ぴょんこちゃんに、もってってあげよう」――くうが茎をこきっと折ったとき、うしろから声がします。
 「ひどーい。それ、あたしのよ。あたし、さくのを、ずっとまってたの。」 泣きそうな顔のぴょんこでした。「しらなかったんだ。ごめんよう」と、くうが花を渡そうとしたとき、ぴょんこが強く振りはらって、花びらがみんな落ちてしまいます。良かれと考えてしたことですが、思いは通じません。むしろ、ぴょんこを悲しませてしまいました。こういうのを「悲劇」というのでしょう。ごんが思いをとどけつづけたのに、にはわかってもらえなかった、新美南吉の童話「ごん狐」のような……。
 しょんぼりする、くうの姿に私たちも切なくなりますが、その切なさをそっと救ってくれるのが、あまんきみこさんのファンタジーです。林にのこった五枚の花びらが舞い上がって、小さい小さい女の子の姿になります。黒井健さんは女の子たちをピンクにちかい赤で描き、それは、茶色と草色の林の風景のなかで、あざやかに際立ちます。この花びらたちの力によって、物語は、「悲劇」から引き返し、明るいほうへ帰還することになるのです。
宮川 健郎(みやかわ たけお/児童文学研究者)