できそこないのおとぎばなし
内容説明
ぼくの妹はいつもいつもつまらないお話を作って遊んでる。ドラゴンだの魔法の石だのどうかしてるよね。できそこないのおとぎ話だ。ほんと笑っちゃう・・・あれれ?物語の世界が動き出す!想像膨らむ絵本。
読者の声
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(女性)
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読んでいて、うちの子が「きょう、こびとをみつけました」と日記に書いていたのを思い出しました。どこにいるの? ときくと、学校の木にすわっていたと……
きっと大人には見えない世界、忘れてしまった世界へ、小さな子は自由に行くことができるのですね。お兄ちゃんもまだ少し、その世界へ行ける目と気持ちをもっているんだなとほほえましく思いました。
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推薦のことば
- ありえなーい現実 2012年10月17日
- いとうひろしさんの本はいつも面白い。でも面白いだけでなくて、子どもごころを大切にしている作者の気持ちがたくさん込められている。お話はユニークで、美しい色の絵がまた魅力的だ。この二つをもっている作家はなかなかいない。一つしか持たない私はうらやましい。
主人公の小さな兄妹二人がかわいい。妹は「できそこないのおはなし」をつくって遊ぶのがだいすき。いつでも、どこでも、おひめさまやら、妖精が出現するなんでもありの世界に生きている。こんなやんちゃな妹と、現実をちょっぴり知ってしまったおにいちゃんがお使いに行くことになったのだからもう大変。妹が口を開けば、こびとやら、ドラゴンやらがでてきて、お店の中はおおさわぎになる。謝りまくるおにいちゃん。でも、おにいちゃんだって……。ファンタジーと現実が絶妙に共存している絵がすばらしい。またこのときの二人と、周辺の人たちの表情……二重丸のぐりぐり目玉が微妙に変化するのをお見のがしなく!
小さな人たちの気持ちはいつだって自由。自由という言葉で言えないほど果てしない。あっちに、とんだり、こっちを向いたり、時を越え、空間を広げ、あれよあれよと世界は変わっていく。でもその「ありえなーい」と叫びたくなる世界は、彼らにとって、いつだって現実なのだ。そこをこの作者は決して外さない。背は高く、姿は大人だけど、多分この作者は子どもと同じ「なんでもあり」の世界の住人なのだ。だから作品はいつも、はっとする冒険に充ちている。
小さな人たちは一番正直な読者といえる。それだけに書くほうも真剣だ。そういう読者に支持され続けている、いとうさんはすごい。 - 角野栄子(かどの えいこ/児童文学者)
書評
- 教育新聞 2012年11月19日
- 読売新聞夕刊 2012年10月27日
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