2024.07.18

シリーズ50周年!『ばけものづかい』3・4歳から楽しめる人気のロングセラー

「せなけいこおばけえほん」シリーズは今年で刊行から50年!
シリーズで最初に刊行された2冊から、シリーズの中でも人気の高い『ばけものづかい』をご紹介します。



むかし、とても人づかいの荒い、おじいさんがいました。
おじいさんが、家賃は安いがばけものがでるという評判のやしきにひっこすというので、いつも多すぎる用事を言いつけられていた召使いも、とうとう逃げだしてしまいました。

ある晩のこと。
おじいさんが一人で本を読んでいると、なまあたたかい風がふいてきて、ぞくぞくっとしました。
みるときれいな女の人がいて、その首が、するするーと伸びていきます。
「こんばんは~」

ところが、おじいさんはちっとも驚きません。
そこで、ひとつめ小僧、からかさおばけ、火の玉や大入道も現れますが……。

おじいさんは、おばけたちに驚かず、よく来たなと招き入れると、
「ろくろっくびや、きもののやぶれをなおしておくれ」
「ひとつめ小僧や、おまえは肩をたたいてな。それから火ばちでかきもちをやいておくれ」
とおばけたちに次つぎと用事をいいつけます。


「まだ用事がいっぱい残ってる、明日の晩も来ておくれ」
そんなおじいさんに、とうとうおばけたちも逃げ出します。


落語ばなしを題材にした作品も多い「せなけいこおばけえほん」。
それもそのはず、せなけいこさんのお連れ合いは、落語家の6代目柳亭燕路(りゅうてい えんじ)さん。
せなさんご自身も東京生まれの江戸っ子です。
本作のおじいさんの語り口も、落語の口調のようで小気味良く、あっけらかんとした楽しさがあります。

怖すぎないのが人気のひみつ。子どもたちからはこんな感想をいただきます。

「おじいさんがおばけを見てもおどろかないのがおもしろい」
「反対におばけがおじいさんにおどろいていて、おもしろかった」

3・4歳から楽しめる人気のロングセラー絵本です。
28ページ(せなけいこ 作/絵)

*この作品は、以下の小型版も刊行されています。
『ちいさなおばけえほん ばけものづかい』
ばけものづかい

せなけいこ おばけえほん

ばけものづかい

せなけいこ

とってもひとづかいのあらいおじいさんが、ばけものがでるとひょうばんの家にひっこしてきます。すると、なまあったかーい風がふいてきて、まちかまえていたばけものたちが、「こんばんは~、どろどろどろどろ~」と、おじいさんをおどろかしにやってきます。ところが、おじいさんはまったくおどろかないどころか、「かたをたたいておくれ」「かいものにいっておいで」と、あべこべにばけものたちをこきつかいます。さて……。
落語ばなしを題材にした、人気ロングセラーシリーズ「せなけいこ おばけえほん」第1作。

  • 3歳~
  • 1974年7月20日初版
  • 定価1,210円 (本体1,100円+税10%)
  • 立ち読み