2022.12.16

<冬のかみしばい>おおみそかの夜を舞台にした、心あたたまる昔話『おしょうがつのおきゃくさん』



年末から1月にかけてのおはなし会にぴったりな昔話の紙芝居をご紹介します。


むかし、びんぼうなじいさまとばあさまが村はずれにすんでいました。

 もうすぐお正月をむかえるという12月のある日、
「おおさむい」
「火にあたらせてくれ」
雪のさむさにこごえた旅人たちが、ふるえながら訪ねてきました。

 ふたりは旅人たちをこころよく迎え入れ、米びつをはたいておかゆをふるまいました。



旅人たちは口々にお礼を言い、雪の中へまた旅立って行きました。

 やがて、やってきたおおみそかの夜。
おもちひとつないけれど、なかよくお正月をむかえられることを喜びながら、じいさまとばあさまがふたりで白湯を飲んでいると、きらきらとひかる着物に身を包んだあの旅人たちが訪ねてきました。


 お礼をしたいとたずねてきた旅人たちの正体はなんと七福神。



「こめ、でろ!」
「さかな でろ!」
うちでのこづちで、たべものや着物など、あとからあとから、出してくれます。

 じいさまとばあさまは大よろこび。
「もっとほしいもんねえか?」

 神さまたちの問いかけに、じいさまはもう十分と答えますが、
ばあさまが、ぽつんと答えました。
「もうちょっと若くて、子どもがいたらなあ」

 翌日ふたりが目をさますと……。

絵は、民話作品を数多く手がけ高い評価を受けている藤田勝治さん。
質素なくらしを描いた前半は青や暗めの色合いで、後半からは鮮やかであたたかな色合いへと、展開にあわせて巧みに描き分けられ、神さまたちやごちそうなど、にぎやかで福々しい絵がなんとも魅力的です。

最後には、家族にかこまれて働く、幸せそうなじいさまとばあさまが描かれます。
幸せな結末に、演じ手も観客も、心がぽかぽかあたたまる紙芝居です。

 12場面/3歳から
(渋谷勲 脚本/藤田勝治 絵)
おしょうがつのおきゃくさん

復刊紙芝居 冬もぽかぽか 行事とおはなし

おしょうがつのおきゃくさん

渋谷勲 脚本/藤田勝治

寒い大晦日のことです。びんぼうなじさまとばさまの家に、7人の旅人がとめてほしいとやってきたので、できるかぎりのもてなしをしました。すると、大晦日の晩、7人の旅人たちがまたやってきて…。

  • 3歳~
  • 2015年11月15日初版
  • 定価2,090円 (本体1,900円+税10%)
  • 立ち読み