2022.07.29

<8月のおすすめ紙しばい>きもだめしにも!幅広い世代で楽しめる『子そだてゆうれい』




8月のおはなし会は、いつもとちがってちょっとこわい、こんな紙芝居はいかがでしょうか。


むかし、あるところに、とうべえというあめ屋の男がいました。
ある日、杖をついた若い女に、近くの宿をたずねられます。
おなかのあかんぼうがもうすぐ生まれそうだといい、つらそうな様子の女に、とうべえはあめをあたえ、道の先にある山寺のおしょうなら、泊めてくれるだろうと伝えます。





それから何日かたった、ある日のこと。

 とんとん とんとん

真夜中に、店の戸をたたく音がします。


とうべえが、だれかとたずねると、

「あめを わけて くださいまし」

戸をあけると、そこにはあの若い女がいました。
女は、あかんぼうが生まれたこと、けれど、お乳がでなくてあかんぼうが泣いており、あめをわけてもらいにきたといいます。女をかわいそうに思ったとうべえは、お金より多めにあめを女にわたしてやりました。

そのつぎのばん、真夜中に

 とんとん とんとん

また、女があめを買いにやってきました。
とうべえは、夜中ではなく日中に買いにきてほしいと女に伝えますが、女はどうしてもこられないと言います。
女はこうして6日つづけてあめを買いにきました。
7日目の真夜中、やはりあめを買いにきた女を、本当に山寺に泊まっているのかと不思議に思ったとうべえは、女の後をつけてみることにしますが……。


画家・須々木博さんの味わいぶかい絵が印象的な紙芝居。
「とんとん」と女が戸をたたく場面の不気味でこわい雰囲気に、子どもたちは息をのんでお話に集中します。

ゆうれいが登場する怪談ですが、死んでなおわが子を思う、母の愛に心うたれる作品です。
母を亡くし生まれた赤んぼうですが、この作品ではその後、寺で大事に育てられ、立派なお坊さまになる後日談も描かれ、怖いだけでなく心あたたまるお話となっています。

夏のおはなし会でおすすめしたい、幅広い世代で楽しめる、ロングセラー紙芝居です。


16場面・3歳から
(桜井信夫 脚本/須々木博 画)
子そだてゆうれい

民話かみしばい傑作選

子そだてゆうれい

桜井信夫 脚本/須々木博

あめ屋のとうべえさんは、旅の若い女の人に道をきかれて、愛想よく答えてやりました。ところが、その晩から毎夜、女の人が…。

  • 3歳~
  • 1991年5月1日初版
  • 定価2,420円 (本体2,200円+税10%)
  • 立ち読み