2021.10.15

<新刊紹介>追悼・那須正幹さん 低学年むけ人気ミステリー最新刊『めいたんていサムくんと なぞの地図』

今年7月に逝去された児童文学作家の那須正幹さん。那須さんの遺作となった「めいたんていサムくん」シリーズの第3作『めいたんていサムくんと なぞの地図』が今月刊行されました。

主人公のサムくんは、小学2年生。
本当の名前は井上オサムです。
小さい時から推理が得意でいろんな事件を解決してきたので、「めいたんていサムくん」と呼ばれています。

本作では、隣町の古いお屋敷で火事が起き、サムくん、タケシくんとミサトちゃんのいつもの3人で火事の焼け跡を見に行くことからお話がはじまります。

火事のあった家は江戸時代には庄屋だったというりっぱなお屋敷。
焼け跡に積み上げられたがれきのそばにトラックが止まり、焼けた家具などを荷台に積みこんでいます。
しばらくようすを見てから帰ろうとした時、タケシくんが道端で、封筒くらいの大きさの古そうな紙包みを拾いました。



紙包みを開けてみると、中から「寶」という文字と、ふしぎな記号が書かれた地図のようなものがでてきました。
サムくんたちは「寶」が昔の「宝」という字で、この地図は、「屋敷の焼け跡から運び出した家具に隠されていた宝の地図」ではないかと推理を進めていきます。
地図にはいくつものふしぎな記号が書かれてます。
どこの地図なのか解読するため、サムくんたちは第2巻で登場し、サムくんたちと対決した「あんごうマン」こと、木谷マコトくんに協力を求めますが……。




昔の地図が鍵となる本作では、地図を通じて、サムくんの住む青葉町の歴史が解きあかされていきます。
はたして地図に描かれた宝の場所はわかるのか、そして地図にこめられた思いとは……。


「小さな読者と共に、謎解きの面白さを共有したい」という那須さんの想いから生まれた小学校低学年むけミステリーである本シリーズ。(*1)
那須さんはミステリーのおもしろさを、小さな読者たちに十分に楽しんでほしいという思いから、できるだけ丁寧な記述を心がけたと語られていて、わかりやすく、自分で本を読み始めた子どもたちにぴったりの内容になっています。


いまの時代を生きる小さな読者たちへ–––那須さんの思いのつまった第3作です。
ぜひ手にとってお楽しみください。


87ページ/小学校1・2年生から
(那須正幹 作/はたこうしろう 絵)


*1『母のひろば』676号(童心社)より
めいたんていサムくんと なぞの地図

だいすき絵童話

めいたんていサムくんと なぞの地図

那須正幹 作/はたこうしろう

小学生のめいたんてい、サムくん。すいりにひつようなのは空色のハンカチだけ。赤ちゃんのときからずっとだきかかえていたタオルをハンカチにしてもらい、そのにおいをかぐと、すいりがさえわたります。ある日、ふるい地図をひろったサムくん。地図には「寶」という文字と、ふしぎな記号が……サムくんたち子どもたんてい団は、地図のなぞをときあかし、たからを見つけだすことができるのか!? シリーズ第3弾!

《那須正幹、はたこうしろうの人気コンビがおくる、小学校低学年むけミステリー!》 青葉町を舞台に、日常にひそむ事件を、サムくんがつぎつぎときあかす!
第3作目は、ふるい地図をつうじて、青葉町の今と昔が交錯します。住んでいる町の歴史を知るおもしろさがたっぷり!

  • 小学1・2年~
  • 2021年10月4日初版
  • 定価1,210円 (本体1,100円+税10%)
  • 立ち読み