2021.08.09

<連載4/4>今、広がる「いのちの響き」――『ちっちゃい こえ』に出会ったみなさんの言葉から

2019年に刊行された紙芝居『ちっちゃい こえ』
丸木俊さん、丸木位里さんが30年以上かけて描いた大連作「原爆の図」の絵をもとに、詩人のアーサー・ビナードさんが独自の物語を紡ぎました。

刊行から2年あまり、『ちっちゃい こえ』に出会い、「いのちの響き」に耳をすましてくださったみなさんの言葉を連載企画でご紹介してきました。
最終回の今日は、高校でこの作品の実演を続けている松山央さんがご紹介くださった、高校生のみなさんの言葉です。


高校生の紙芝居体験

高校の教師をしている私は、授業で絵本の読みがたりをしてきました。紙芝居を演じたのは『ちっちゃい こえ』が初めてです。そのときの生徒たち(高校1年生)の感想をいくつか紹介します。

○人間も猫も鳥も犬もみんな細胞でできているのに、人間だけが爆弾を落とすという言葉が心に残りました。細胞でできている人間が、細胞を壊すものをつくるなんて、改めて考えると恐ろしいと思いました。最後の女の子の絵を見て、生きているということはすごいことなんだと感じました。「戦争」や「原子爆弾」について考えると、苦しく、どうにもならない気持ちになるけれど、今を一生懸命生きることが私にできることで、大切なことなんだと改めて感じさせてくれるお話でした。  

○ふだん私は自分の細胞に耳をかたむけ、「ああ、生きている」なんて考えたりしないけど、見終わった時に肌がピリピリして、心臓がドクドクして、「ああ、生きている」と感じることができました。  

○私は、今自分が平和について、戦争について、しっかりと考えていないことに気づき、大きな猫の目に見つめられた時ゾッとしました。戦争についての作品を読むことはあまり心が弾むことではありませんが、私たちにはとても必要なことだと思いました。  

○猫という人間ではない者の視点で物語が語られていて、人間の悲しさや愚かさを強く感じました。リアルに表現されているのに難しい言葉はいっさい使われておらず、紙芝居として楽しめるようになっているところに衝撃を受けました。

(松山央/東京都)
「母のひろば」687号(2021年8月15日 童心社発行)より


松山さんが『ちっちゃい こえ』を演じるようになったのは、アーサー・ビナードさんが演じるこの紙芝居を見たことがきっかけでした。
アメリカから来日して初めて紙芝居に出会ったというアーサー・ビナードさん。「原爆の図」と向き合いつづけ、7年という月日をかけて、『ちっちゃい こえ』をつくりあげました。そんなアーサーさん自身が語るエピソード、そして『ちっちゃい こえ』に衝撃を受けた松山さんは、この作品を生徒のみなさんに届けたいと思うようになったそうです。


『ちっちゃい こえ』は世代を超えて、多くの人の心に響き、広がっています。
みなさんも、耳をすませてみませんか?
そしてぜひ、みなさんの声もお寄せください。

(脚本 アーサー・ビナード 絵 丸木俊・丸木位里「原爆の図」より)

『ちっちゃい こえ』のご感想はこちらへ
https://www.doshinsha.co.jp/review/

ちっちゃい こえ

単品紙芝居

ちっちゃい こえ

アーサー・ビナード 脚本/丸木俊・丸木位里 絵/「原爆の図」より

ネコが語ります。家族のこと。命をつくりつづける、体の中のちっちゃい声のこと。ヒロシマのこと…。わたしたちはどうすれば生きていけるのか? 美しい絵から響いてくるそのこたえに、一人ひとり耳をすます紙芝居。
『ちっちゃい こえ』プロモーション動画はこちら

『ちっちゃい こえ』紹介リリース

  • 小学3・4年~
  • 2019年5月20日初版
  • 定価2,970円 (本体2,700円+税10%)
  • 立ち読み