2020.10.12

〈いま、よみたい絵本〉きみはずっと、大切な友だち…。純粋な思いが心にせまる『まいごのどんぐり』

今年も、子どもたちが大好きなどんぐりを見かける季節になりました。
今日はそんな季節にぴったりの人気絵本をご紹介します。

 ぼくは どんぐり
 コウくんの どんぐりです。

誕生日のケーキに飾られていたから、名前は「ケーキ」。
コウくんがつけてくれた名前です。
ちゃんとおしりにも、名前が書いてあります。

出会った日から、雨の日も、風の日も、かけっこしたり泳いだり、こうくんとケーキはいつも一緒。
ケーキをどんなに遠くに投げてとばしても、おしりの印を目印に、こうくんはケーキを必ずみつけます。





けれど、ある秋の日、森の中でどんぐり拾いに夢中になったコウくんは、カバンの中からうっかり落として、ケーキをなくしてしまいます。
夕日がしずむまでさがしてもみつからず、コウくんは泣きながら家に帰ります。
あくる日も、またつぎの日もコウくんは森でケーキを探しますが、どうしてもみつかりません。

そして、いつしかこうくんはケーキのことを忘れてしまい、ケーキも落ち葉の中でねむりにつきます。

季節が変わり、目をさましたケーキは、どんぐりの若木となっていました。

 コウくん おはよう
 コウくん おかえり

ランドセルを背負ったコウくん、学生服を着て、自転車を走らせるコウくん。
コウくんがケーキに気づくことはありませんが、ケーキはコウくんの成長を見守りつづけます。

月日はながれ、立派な木に成長したケーキは、大人になったコウくんと再会します。
ケーキが枝をふるって落としたどんぐりを拾って、コウくんはケーキを思い出すのです……。


「読んでいて胸が熱くなり、思わず泣いてしまいました」
そんな感想を多くいただいている本作。

だれもが持っている子どもの頃の大切な思い出、大切な友だち……。
忘れられてもコウくんの成長を見守り、その成長を心から喜ぶケーキの思いに胸うたれます。
大人の方にとっては、ケーキの姿が見返りを求めず子どもの成長を見守る親の気持ちとも、どこか重なる所があるかもしれません。

人気絵本作家・松成真理子さんのデビュー作でもある本作。(第32回児童文藝新人賞 受賞)
二人の過ごした日々と心の交流を鮮やかに描き出した本作は、児童書専門店や絵本レビューサイトからも高い評価と多くの反響をいただいています。

読書の秋に、子どもたちだけでなく、幅広い年齢の方にもぜひ一度読んでいただきたい、おすすめの傑作絵本です。

32ページ/3歳から(松成真理子・作)
まいごのどんぐり

絵本・こどものひろば

まいごのどんぐり

松成真理子

小さな男の子とどんぐりの心の交流を、美しい絵と想いあふれる言葉でいきいきと描いた絵本。

  • 3歳~
  • 2002年9月15日初版
  • 定価1,430円 (税込)
  • 立ち読み