2019.08.08

〈連載〉読書感想文におすすめ③『先生、しゅくだいわすれました』

読書感想文におすすめの作品を連載でご紹介していきます。
今日ご紹介するのは『先生、しゅくだいわすれました』です。
96ページ。ふんだんにさし絵が入り、小学2・3年生くらいから楽しめます。

昨日宿題をしてくるのをわすれたことに気がついた、ゆうすけ。
ゆうすけは、宿題ができなかった理由をかんがえて、担任のえりこ先生にウソをつこうとしますが、うまくいきません。

「ウソをつくなら、すぐにばれないようなウソで、だれかが病気になったり、死んだりしないで、ウソだとわかっても笑っちゃうようなものじゃなくちゃ」
えりこ先生から、そう言われたたゆうすけ。
よーし、見てろよ……。

翌日ゆうすけは、はりきって宿題をわすれた理由を先生に報告します。
ゆうすけが、宿題をやろうと机にむかったら、2階のまどから宇宙人がノックしてきたこと。
つくえの上の計算ドリルをみて、これは何かとたずねたり、2桁のひっ算をどうやって計算するかを教えてほしいと頼まれたこと。
九九を教えてあげたが、宇宙人は覚えられず、九九の歌を教えていたら、気がついたら朝になっていたこと……。

ゆうすけの話を聞いたえりこ先生は「だったらしかたないね」と宿題の名簿に○をつけてくれました。

「宿題ができなかった理由」は、ゆうすけの思いつきから、クラスメイトたちみんなに広がっていきます。
みんなが工夫して考えてきた話が、自由な想像力にあふれていて楽しめます。
実は「宿題ができなかった理由を考えてくる」のが、宿題になっているのですが、
えりこ先生は、そうとは気づかせず、子どもたちのやる気をおこさせます。
そして子どもたちは、普通に宿題した方が時間がかからないことにも気がついていきます。

物語の最後には、みんなの宿題のプリントを用意してくるのを忘れたえりこ先生から「先生が、プリントを用意できなかった理由」の話もあり、先生と子どもたちの、ユーモアと想像力あふれるやりとりが楽しめる作品です。

お子さんが本を読み終わったら、自分だったら、どんな「宿題ができなかった理由」を考えるかな…と想像し、ご家庭で話してみても、楽しいかもしれません。

国際推薦児童図書「The White Ravens2016」選定作品。

先生、しゅくだいわすれました

単行本図書

先生、しゅくだいわすれました

山本悦子 作/佐藤真紀子

しゅくだいをわすれたゆうすけ。しどろもどろに口からでまかせのウソでいいわけをしていると、えりこ先生が「だめだなあ、ウソをつくならもっと上手につかなくちゃ」「え?」「すぐばれるようなのはだめよ。それから、聞いた相手が楽しくなるようなのじゃなくちゃ」「楽しくなる?」「そう。聞いた人がウソとわかっても、はははってわらっちゃうようなのじゃなきゃ」「じゃあ、上手にウソがつけたら、しゅくだいやってなくてもしかられないってこと?」「そうねえ。だって、だまされちゃったらしかたないし」といって、えりこ先生はにやっとわらった。…次の日から子どもたちはしゅくだいができなかったわけを考えてきて発表することに…。

  • 小学3・4年~
  • 2014年10月25日初版
  • 定価1,210円 (本体1,100円+税10%)
  • 立ち読み