<連載『ちっちゃい こえ』④>企画展「紙芝居ができた!」に行ってきました。

『ちっちゃい こえ』をじっくりご紹介する連載企画、今回が最終回です。
7月20日から「原爆の図 丸木美術館」(埼玉県東松山市)ではじまった『ちっちゃい こえ』の企画展「紙芝居ができた!」。夏らしい蒸し暑さとなった7月25日にさっそく美術館を訪れました。

受付から企画展会場へ進むと、丸木位里さん、丸木俊さんが敗戦後まもなく描いた作品が並んでいます。「原爆の図」を描く以前の作品ですが、おふたりの時代への向き合い方が迫ってくるようです。位里さんの母であり、原爆体験をおふたりに語り伝えた丸木スマさんの作品も展示されています。

企画展の見どころのひとつは、千枚近くの絵の試作で埋めつくされた壁。アーサー・ビナードさんは紙芝居の絵を探すために、丸木美術館を訪ねて「原爆の図」と向き合い、登場する生き物たちと対話をはじめました。ひとりひとりの声を聞きとり、どんな物語がありうるか、絵と相談しながら実験を重ねました。たくさんの写真も撮り、「原爆の図」をいったんバラバラにし、それから紙芝居として組み立てていくことにしました。展示されているのは、その過程で生まれた絵の数々です。
紙芝居に登場するネコやあかんぼう、ハトはみんな「原爆の図」に存在しますが、他にも「原爆の図」には多くの子どもたちや生き物、ヒマワリなども描かれていることに気づかされます。ビナードさんは「原爆の図」を「生き物の図」とおっしゃいましたが、改めてそれを発見し、「原爆の図」の展示室に探しに行きたくなります。

2012年にはじまった紙芝居づくり。7年に及んだ制作は、試行錯誤の連続でした。本展では、2014年、2015年、2016年の3つの時点での試作版が展示されています。ビナードさんは、さまざまな場で試演をし、観客の反応を確かめながら、内容を変えていったのです。それは、「原爆の図」を今を生きる人たちの物語として伝えるための作業でした。

『ちっちゃい こえ』の全場面をA0サイズに拡大した16枚の絵が展示された部屋では、小学6年生の双子のご兄妹に出会いました。この日、初めて「原爆の図 丸木美術館」を訪れたというふたり。じっくりと展示を観たあと、展示室に置かれている紙芝居を手に取り、舞台に入れて互いに演じ合っていました。「ほんものの『原爆の図』はすごい迫力だった。紙芝居では、元気だったサイボウが原爆によってそうではなくなってしまう場面を怖いと感じた」と話してくれました。
お母様は「結婚してまもなくこちらを訪れたことがあり、いつか子どもが生まれたら連れてきて、『原爆の図』をいっしょに観たいと思っていました。私自身戦争を経験していませんが、知ることや想像することが大切だと思うのです。今回の企画展で『原爆の図』をもとに紙芝居が作られたことを知り、驚きました。さまざまな工夫がされているのですね。子どもたちはどんなふうに紙芝居ができていったかということにとても興味をひかれたようです」とお話しくださいました。

紙芝居を演じてみたあと、ご兄妹が手にしたのは、「紙芝居ができた!~16のモンダイ~」。美術館からのご案内には、こんな言葉が書かれています。

「みなさんもぜひ、『原爆の図』を再発見してください。今の自分にとってどのような意味をもつのか、考えてみましょう。 そのヒントになるかどうか、今回の展示では、丸木美術館から『ちっちゃい こえ』の16の場面に合わせて、16のモンダイを用意してみました。」

ご来場の際には、ぜひこちらのモンダイを手に「原爆の図」、そして『ちっちゃい こえ』の世界へ分け入ってみてください。

『ちっちゃい こえ』を体感する企画展、開催は9月1日までです。
ぜひ夏休みにお友だちと、ご家族とご一緒にお出かけください。



ちっちゃい こえ

単品紙芝居

ちっちゃい こえ

アーサー・ビナード 脚本/丸木 俊・丸木 位里 絵/「原爆の図」より

ネコが語ります。家族のこと。命をつくりつづける、体の中のちっちゃい声のこと。ヒロシマのこと…。わたしたちはどうすれば生きていけるのか? 美しい絵から響いてくるそのこたえに、一人ひとり耳をすます紙芝居。
『ちっちゃい こえ』プロモーション動画はこちら

『ちっちゃい こえ』紹介リリース

  • 小学3・4年~
  • 2019年5月20日初版
  • 定価2,970円 (税込)
  • 立ち読み