おしいれのぼうけんのひみつ

走り出す勇気、のりこえる力をくれる絵本

二つの不安

古田足日さんは、「子どもには二つの不安があるだろう」と言っています。一つは生きることそのものへの不安。 守ってくれる人なしには生きていけないあかちゃんとしてこの世に生まれる子どもには、成長するにつれて大きな不安が次々に襲います。
そしてもう一つは、現代という時代のもつ不安。事件や事故、そして戦争―。先の見えない不安は、子どもたちにも重くのしかかっています。 本作の中には、こうした不安をねずみばあさんやねずみばあさんの国として登場させているのです。

自分たちの力でのりこえる

子どもたちのもつ二つの不安、それをのりこえていくのは、他ならぬ自分自身です。けれど、たった一人で 立ち向かうのではありません。
「あーくん。てだ、てをつなごう。」(本文より)
さとしとあきらは二人だったからこそ、足がすくむような場面でも走り出し、あきらめずに闘いぬくこと ができたのです。
勇気、そしてかけがえのない友だちとの絆で大きな困難をのりこえていく。現代の子どもたちへも強いメッセージを発し続けているのが、『おしいれのぼうけん』なのです。