『いないいないばあ』をつくった人たち

『いないいないばあ』をつくった人たち
作家、画家、装丁家、編集者が力を合わせ生み出した絵本です。

松谷 みよ子 (ぶん)
(1926~2015)

東京神田生まれ。長野に疎開中に野尻湖の坪田譲治を訪ね、師事する。1951年童話集『貝になった子供』(あかね書房)が出版され、児童文学者協会新人賞を受賞。その後、『ちいさいモモちゃん』(講談社)で野間児童文芸賞、NHK児童文学奨励賞など、長編童話『龍の子太郎』(講談社)で、講談社児童文学新人賞、産経児童出版文化賞、国際アンデルセン賞優秀賞など数多くの賞を受賞する。

瀬川 康男 (え)
(1932~2010)

愛知県岡崎市生まれ。1960年に初めての絵本『きつねのよめいり』(福音館書店・こどものとも)が出版される。『いないいないばあ』をはじめ、『いいおかお』『もうねんね』『あなたはだあれ』(童心社)の絵を描いた。『ふしぎなたけのこ』(福音館書店)でブラチスラヴァ絵本原画展(BIB)グランプリ、『やまんばのにしき』(ポプラ社)で小学館絵画賞など、国内外で数多くの賞を受賞する。

辻村 益郎 (装丁)
(1934~)

愛知県岡崎市生まれ。装丁、挿絵、絵本の創作など、幅広く本の世界で活躍。絵本の装丁に、「松谷みよ子 あかちゃんの本」シリーズ、「若い人の絵本」シリーズ(童心社)、文芸書の装丁に藤枝静男『田紳有楽』、瀬戸内寂聴『源氏物語』(いずれも講談社)など多数ある。自作の作品に『本のれきし5000年』、「伝承おりがみ」シリーズ(いずれも福音館書店)などがある。

稲庭 桂子 (編集)
(1916~1975)

岩手県盛岡市生まれ。1957年、初代社長・村松金治とともに童心社を設立。初代編集長として、「松谷みよ子 あかちゃんの本」シリーズをはじめ、『あいうえおのほん』『ね、おはなしよんで』「かこさとし かがくの本」など、数多くの本を企画・編集。童心社の出版の基礎を築いた。戦後、紙芝居運動の中心を担い、『お月さまいくつ』(厚生大臣賞)などの脚本も手がけた。

あかちゃんだからこそ美しい日本語と最高の絵を

あかちゃんだからこそ美しい日本語と最高の絵を
松谷みよ子

1967年刊行当時、乳児向けの絵本は皆無に等しい時代でした。「 本気で取り組んだあかちゃんの絵本が必要だ」と思いました。「あかちゃんなんかに絵本が分かるわけがない」大人たちはそう思っていたんです。でも実際にあかちゃんを育ててみると違うのです。あかちゃんにも人間ドラマがあります。
まず信頼することが大事。「 あかちゃんのための文学を書こう」 そう決意して、手探りで書いた第1作目が『 いないいないばあ』 です。瀬川康男さんが、とてもいい絵を描いて下さいました。病院に入院して泣いている生後10か月のあかちゃんに、1歳半の子が「なん なん ばあ」と絵本を読み聞かせました。すると、泣きやんでケラケラ笑ったんです。絵本の力を確信しました。
(童心社刊「絵本ガイド」より)