単行本図書

きせきの海をうめたてないで!

きせきの海をうめたてないで!

立ち読み

カートにいれる

キム・ファン 著/大田黒摩利たかおかゆみこ

生き物たちが裁判をおこしました。スナメリ、カンムリウミスズメ、ヤシマイシン近似種、ナガシマツボ、ナメクジウオ、スギモク。これらの6つの生き物たちが、本当に、2008年に山口県で裁判をおこしたのです。裁判をおこした生き物たちは、ほかの海ではもういなくなってしまったり、とても数が少なくなったりしてしまった生き物たちです。けれども上関の海では、今もふつうに生きています。ですから人びとは上関の海を「きせきの海」と呼ぶのです。でも、悲しいことに、かれらがすむ「きせきの海」が、うめたてられるかもしれないのです。原子力発電所をつくるために、です。生きものたちは必死にうったえています。「わたしたちがすむ海を人間がうめたててしまったら、もう生きてはいけません。わたしたちはほかの海では生きられないのです。どうか、うめたてないでください!」と――。

  • 定価1,566円 (本体1,450円+税)
  • 判型:A5判/サイズ:21.6×15.4cm
  • 頁数:136頁
  • 小学5・6年~
  • ISBN:978-4-494-02039-3
  • NDC:916

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推薦のことば

海を失うことは、私たちの未来を失うこと(母のひろば 305号) 2014年10月30日
 かわいい丸いおでこを持つ白いクジラ――スナメリ、小さななぞの海鳥カンムリウミスズメ、竜宮城の入り口のような田ノ浦湾の海の中、黄金に萌えるスギモクの花―表紙をひらくと、すてきな写真がいっぱいです。
 しかし、日本初の国立公園に指定された瀬戸内海は、表面は変わらない海でも、戦後、長年海底の砂の採掘や、沿岸の工業地帯の発達によって海中はほとんど死にかけています。たとえば、この本の中で紹介されているスナメリとの協同の漁法「スナメリあじろ漁」はとてものどかで、すてきです。それがもう行われないのは、海底の様子がすっかり違ってきてしまったからです。人間が漁をする大きい魚は、小さい魚を食べ、小さな魚はプランクトンを食べ、プランクトンはもっと小さな海底の生き物(ベントス)を食べ、ベントスは豊かな湧き水や海草の森をゆりかごとしています。大きな魚が獲れなくなった時に気づいても、もう海の中は死に絶えているのです。
 ここ「きせきの海」ではすべてが残されていました。原子力発電所建設のためにこの海が埋め立てられる――それは瀬戸内すべての海の「よみがえりのタネ」を失うことにもなります。どうかこの海を埋め立てないで、と生き物たちになり代わって裁判を起こした人たち、そしてその生き物たちを描いた物語です。
後藤 由美子(ごとう ゆみこ/京都家庭文庫地域文庫連絡会運営委員・わたぼうし文庫主宰)

書評

子どもと科学よみもの 2016年1・2月号 2016年1月1日
科学読物研究会
子どもの本棚 2015年5月号 新刊紹介/特集2014年子どもの本をふりかえって 2015年5月1日
子どもと読書 2015年1.2月号 2015年1月1日
ちゃぐりん2014年12月号 2014年11月11日
日本児童文学(2014年11・12月号)ブックラック 2014年11月11日
当別新聞 2014年11月第712号 2014年11月1日
日本農業新聞 2014年10月25日
新婦人新聞「子どもの本」ねえ、いっしょに 2014年10月23日
広瀬恒子