単行本図書

スウィング!

在庫品切・重版未定

横沢彰 作/五十嵐大介

耕うん機のエンジン音から、死んだ父の声が聞こえたような気がした…。直は、好きな野球を続けながら、父に代わって田んぼを耕す決意をする。農業と野球に全力投球する青春!
中学三年生の直には父親がいない。昨年の冬、過疎の隣村へ雪下ろしに行き、沢にはまって亡くなった。父が耕していた山の田んぼを、母は手放すと言う。やるせない気持ちで直が作業小屋に行き、耕耘機のエンジンをかけると、エンジン音から父の声が聞こえたような気がした…。
直は、好きな野球を続けながら、父の代わって田んぼを耕す決意をする。耕耘機の扱い方を教えてくれるのは、長年山間地の農地で稲作を続けてきた兼三さん。部活の仲間に支えられてなんとか田植えまでこぎつけるが…。

  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 初版:2011年11月20日
  • 判型:四六判/サイズ:19.4×13.4cm
  • 頁数:256頁
  • 小学5・6年~
  • ISBN:978-4-494-01957-1
  • NDC:913

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いきいきとした等身大の中学生を描きながら、日本の農業問題(過疎、高齢化、若者の農離れ、国内農地の大半を占める中山間地をいかに維持するか)など、現代の「農」の問題をするどく描き出しています。

内容説明

耕うん機のエンジン音から、死んだ父の声が聞こえたような気がした…。直は、好きな野球を続けながら、父に代わって田んぼを耕す決意をする。農業と野球に全力投球する青春!
中学三年生の直には父親がいない。昨年の冬、過疎の隣村へ雪下ろしに行き、沢にはまって亡くなった。父が耕していた山の田んぼを、母は手放すと言う。やるせない気持ちで直が作業小屋に行き、耕耘機のエンジンをかけると、エンジン音から父の声が聞こえたような気がした…。
直は、好きな野球を続けながら、父の代わって田んぼを耕す決意をする。耕耘機の扱い方を教えてくれるのは、長年山間地の農地で稲作を続けてきた兼三さん。部活の仲間に支えられてなんとか田植えまでこぎつけるが…。

推薦のことば

自分を信じてやっていこう 2011年12月15日
 季節は、春。中学3年、野球部の4番候補として、フェンス越えのホームランを目標にしている直は、かあさんの、「田んぼやめようと思うんだわ。」という言葉を聞いて、亡くなったとうさんが残した山の田んぼを、どうにかして続けたいという思いを強くします。“野球部を休部して田んぼの仕事をする”と決意した直に顧問の万田先生が課したのは、休部ではなく、農作業で力をつける、特別練習メニューでした。
 地区大会への出場を目標にして、練習に励む中学野球部の少年たちの友情と、新潟とおぼしき山間部の、小さな集落の“田んぼ仕事”を軸に物語は進みます。
 山の小さい田んぼには、トラクターは入れず、耕うん機でないと耕せません。こんな山の田んぼにしがみついて何になる? と問う声に、あえて作者は、答えを用意しません。ただ、登場人物に「先祖が年月かけて開いてきた田が、たった二、三年荒らしただけで、あっという間に山に帰っていく」のだと言わせています。
 それにしても、魅力的な大人がたくさん出てきて、直のさまざまな葛藤を支えてくれるのが嬉しくなります。彼ら一人ひとりの生き方や考え方に、深く考えさせられるとともに、私は私の正しいと思うやり方で、人生の到達点を目指していくしかないのだという、確信と勇気をも与えてもらいました。
寺田弥生(てらた やよい/学校司書)