2019.11.20

<連載 1/2>たいせつなわが子へ伝えたい『うまれてきてくれてありがとう』

「ぼく、ママの こどもで うまれるよ」

これは2011年に刊行された絵本『うまれてきてくれてありがとう』に登場する言葉。
生まれる前のあかちゃんが、お母さんをさがす物語の終盤、たどりついたお母さんのおなかの中で言うのです。


母と子のかけがえのない絆を描いた本作。
物語を書いたのは、ひとりの父親でした。


著者のにしもとさんは、奥様が初めてのお子さんを身ごもり喜んだのもつかの間、さまざまな要因から無事の出産は難しいと主治医から告げられたそうです。
それでもお二人で励まし合いながら、長い入院期間を経て、息子さんは無事に誕生しました。
息子さんに何かプレゼントをしたいと物語の創作を思い立ったとき、この言葉しか浮かんでこなかったというのが、タイトルでもある「うまれてきてくれてありがとう」です。

現在中学生になった息子さん。時に奥様と言い争いになった日にも、一日に一回は必ず「うまれてきてくれてありがとう」と言ってハグをする、そう教えてくださいました。


本作の絵を手がけたのは、絵本作家の黒井健さんです。
生まれる前のあかちゃんが主人公であるファンタジックな物語を絵で表現する時、黒井さんにとってヒントになったのがテキスタイルでした。テキスタイルの技法を取り入れて背景の木々や花を描き、不思議であたたかな世界を創りあげていきました。

後半のあかちゃんがお母さんをさがすところは、絵と会話するように、楽しみながら試行錯誤を重ねていったそうです。そうしてたどり着いたお母さんのおなかの中のシーンは、「お母さんにとっての幸せな時間」だと思って描いたと語っています。
ご自身にお孫さんが誕生されてから、命の誕生、神秘を改めて感じるようになったという黒井さん。読者の方から届くメッセージを読むたびに「命の誕生は奇跡だ」と感じられるそうです。


今年、お子さんと初めてのクリスマスを迎えるお母さん。
もうすぐわが子と会うことを楽しみにしているお母さん。
毎日あわただしくもお子さんとにぎやかに過ごすお母さん。

すべてのお母さんに贈る1冊です。


著者のお二人のインタビューを、童心社HPにて公開しています。
ぜひご覧ください。

にしもとようさんインビュー
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=1573

黒井健さんインタビュー
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=1575

(にしもとよう・ぶん 黒井健・え)

うまれてきてくれてありがとう

単行本絵本

うまれてきてくれてありがとう

にしもとよう ぶん/黒井健

「ぼくは、ママをさがしているの。かみさまが、『うまれていいよ』っていってくれたから・・」クマくんやぶたくん、ほかの動物たちはみんなママと一緒です。ぼくのママは、どこにいるの?「あなたは、世界でたった一人のかけがえのない存在。うまれてきてくれて、ありがとう。」

絵本を通じて、親から子へメッセージを伝えることで、子どもの自己肯定感を育み、かけがえのない命の誕生を親子で喜びあう絵本。

  • 0・1歳~
  • 2011年4月15日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み