2019.10.17

児童文学作家の児玉辰春さんがご逝去されました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

児童文学作家の児玉辰春さんが、10月14日逝去されました。91歳でした。
生前のご功績に敬意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。

広島県大竹市出身で、広島に原爆が投下されたあの日、山口県岩国市にいたという児玉さん。
1954年から広島市の中学校で教壇に立ち「授業の半分以上は平和について話した」と生前語られていたように、熱心に子どもたちへの平和教育にも取り組まれました。

定年退職後、児童文学作家として、『伸ちゃんのさんりんしゃ』(童心社)『まっ黒なおべんとう』(新日本出版社)など、実話を元に原爆の遺品や平和を題材にした作品を多数執筆されました。

『伸ちゃんのさんりんしゃ』で登場する三輪車は、4歳の誕生日を目前に、庭で三輪車に乗って遊んでいた所被爆して命を落とした伸一くんのもの。伸一くんの遺体とともに庭に埋葬されていましたが、被爆40年を機に広島平和記念資料館に寄贈され、今も同館で展示されています。

この作品について「自分の子どもを、墓でなく手の届く庭に埋めずにはいられなかった親の気持ちを思うと」と語られていた児玉さん。児玉さんの平和への思いを継いで、戦争と原爆の悲劇を語りつぎ、私たちは未来を担う子どもたちへ、作品をつくり続けて参りたいと思います。